TCFD提言に基づく開示
- 環境マネジメント
- 気候変動対応
気候変動に対する基本的な考え方
当社グループは、「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」という企業理念のもと、地球環境の保全を持続的な企業価値向上に不可欠な重要課題と認識しています。
当社は2020年10月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づく「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの観点から、気候関連リスク・機会の特定・評価、シナリオ分析、温室効果ガス(GHG)排出量の削減および情報開示に取り組んでいます。
また、2026年9月には、Science Based Targets initiative(SBTi)より、当社グループのGHG排出削減目標についてSBT認定を取得しました。当社は、自社グループのScope1・2排出量の削減に加え、Scope3についてもサプライヤーとの協働を進め、バリューチェーン全体での脱炭素化を推進していきます。
ガバナンス
気候関連課題の監督・推進体制
当社グループは、気候変動を含む環境関連のリスク・機会を、経営戦略や事業活動における意思決定に組み込んでいます。
気候変動に関するリスク・機会については、取締役会の任意の諮問機関であるSDGs委員会の下部組織として設置した環境委員会が中心となって検討しています。環境委員会では、サステナビリティ担当理事が委員長を務め、各事業部門と連携しながら、気候関連リスク・機会の特定・評価、GHG排出削減施策、気候関連目標の進捗状況、必要な投資等について審議しています。
環境委員会における審議内容はSDGs委員会に報告され、重要な事項については取締役会に報告されます。取締役会は、SDGs委員会からの報告に基づき、気候変動を含むサステナビリティに関する基本方針や重要事項について意思決定するとともに、各事業・拠点における取組みを監督しています。
また、取締役会等で決定した方針や戦略は各組織の目標に反映され、活動結果を経営層にフィードバックする仕組みを構築しています。気候変動に関する目標についても事業年度ごとに実績を管理し、各拠点から集計した環境パフォーマンスデータを分析することで、施策の進捗確認や見直し等のPDCA管理に活用しています。
推進体制

戦略
気候関連リスク・機会に対する考え方
当社グループは、気候変動による事業への影響について、脱炭素社会への移行に伴って発生する「移行リスク」と、異常気象の激甚化や気温上昇等による「物理的リスク」の双方から評価しています。
また、気候変動への対応はリスク低減にとどまらず、省エネルギーやエネルギー効率改善によるコスト削減、再生可能エネルギー事業の拡大、サプライチェーンのレジリエンス向上、顧客からの信頼獲得等につながる機会でもあると認識しています。
当社では、気候関連リスク・機会を事業戦略・財務計画と整合的に評価するため、短期・中期・長期の時間軸を設定しています。
| 時間軸 | 当社における考え方 |
| 短期 | 0~1年:年度事業計画やGHG排出量等の実績管理と連動 |
| 中期 | 1~3年:事業計画・設備投資等を踏まえたリスク・機会を評価 |
| 長期 | 3年以上:SBT目標年や2050年以降の気候シナリオ等を踏まえ、中長期的な事業環境の変化を評価 |
主な気候関連リスク・機会
| 区分 | 主なリスク・機会 | 当社グループへの主な影響 | 主な対応 |
| 移行リスク:政策・規制 | カーボンプライシングや環境規制の強化 | エネルギー・排出関連コスト、設備投資負担の増加 | SBTに基づくGHG削減、省エネ、燃料転換、再エネ活用 |
| 移行リスク:市場・顧客 | 顧客によるサプライヤーへの脱炭素要請の強化 | SBT・GHG削減等への対応が不十分な場合、顧客からの評価低下や受注機会の減少につながる可能性 | SBT認定取得、CDP・EcoVadis対応、GHG情報開示の充実 |
| 移行リスク:サプライチェーン | Scope3削減やサプライヤーからのGHG情報収集の必要性増大 | サプライヤー対応に伴う管理コストや調達コストの増加、Scope3目標達成への影響 | サプライヤー評価・エンゲージメント、SBT設定の働きかけ |
| 物理的リスク:急性 | 台風、豪雨、洪水等の激甚化 | 研究施設の操業停止・設備被害、物流停止、原材料調達への影響 | BCP、設備対策、調達先・物流経路のリスク管理 |
| 物理的リスク:慢性 | 平均気温上昇等 | 空調・冷却需要増加によるエネルギーコスト上昇等 | 高効率設備への更新、省エネルギー、設備運用改善 |
| 機会:資源効率 | 省エネルギー・高効率化 | GHG排出量とエネルギーコストの削減 | 高効率空調等への設備更新、運用改善 |
| 機会:エネルギー | 再生可能エネルギー需要の拡大 | 地熱発電等の事業機会拡大 | 地熱資源を活用した再生可能エネルギー事業の推進 |
| 機会:市場・顧客 | 顧客のサステナビリティ要求の高まり | 脱炭素対応を競争力として顧客との関係を強化 | SBT、第三者保証、GHG開示等による信頼性向上 |
| 機会:レジリエンス | 気候変動適応の強化 | 操業・サプライチェーンの安定性向上 | 拠点・調達・物流のリスク評価、BCPの高度化 |
シナリオ分析
当社では、温度帯の異なる複数のシナリオを用いることで、将来の不確実性に備え、設備投資、BCP、在庫・調達、保険、拠点運営等の対応策の優先順位付けに活用しています。
採用シナリオ
当社グループは、気候変動が事業に及ぼす中長期的な影響および不確実性を把握するため、IPCC第6次評価報告書等を参考に、1.5℃シナリオと約4℃シナリオを用いたシナリオ分析を実施しています。
1.5℃シナリオ:SSP1-1.9/RCP1.9
パリ協定の目標と整合する脱炭素化が進展し、再生可能エネルギーへの転換、カーボンプライシング、低炭素技術の普及、企業へのGHG排出削減要求等が強まる世界を想定しています。主として政策・規制、市場、技術、評判等の移行リスク・機会を分析しています。
約4℃シナリオ:SSP3-7.0/RCP7.0
脱炭素化が十分に進まず、気温上昇に伴って台風、豪雨、洪水等の気象災害が激甚化する世界を想定しています。主として、施設への被害、操業停止、物流・サプライチェーンの途絶等の物理的リスクを分析しています。
シナリオ分析の結果と戦略への反映
シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオでは、カーボンプライシング等の規制強化、低炭素エネルギーへの転換に伴う投資、顧客や投資家からの脱炭素要請等の移行リスクが高まる一方、早期にGHG排出削減を進めることで、将来の炭素コストの抑制や顧客からの信頼獲得につながる可能性があると評価しています。
約4℃シナリオでは、大雨、洪水、台風等の激甚化による研究施設への影響、物流・サプライチェーンの途絶、原材料価格の上昇等の物理的リスクが高まる可能性を認識しています。
これらの分析結果を踏まえ、当社グループは、GHG排出量削減、省エネルギー設備への更新、再生可能エネルギーの活用、燃料転換、サプライヤーとの協働、BCPの高度化等を進めています。これらの対応を継続的に実施することで、各シナリオにおいて想定されるリスクの低減と機会の獲得を図り、気候変動に対する事業のレジリエンス向上に努めています。 また、気候関連リスク・機会を経済価値の観点から評価するため、将来の炭素価格を想定したインターナル・カーボンプライシングをリスク・機会の評価に活用しています。
リスク管理
気候関連リスク・機会の特定・評価プロセス
当社グループでは、気候関連リスク・機会の特定・評価を定期的に実施しています。
環境委員会が中心となり、各事業部門・拠点と連携して、自社の事業活動だけでなくサプライチェーンを含むバリューチェーンを対象に、移行リスク・機会および物理的リスクを抽出しています。複数の気候シナリオや短期・中期・長期の時間軸を用いて、発生可能性、事業への影響、財務的影響等を定性・定量の両面から評価しています。
重要性が高いと判断したリスク・機会については、対応策を策定し、各事業・拠点の計画や設備投資、BCP、サプライチェーンマネジメント等へ反映しています。
全社リスク管理との統合
当社では、気候変動を環境部門のみが管理する課題ではなく、事業継続や顧客、調達、投資等にも影響する全社的な経営課題として捉えています。
環境委員会で評価した重要な気候関連リスク・機会および対応状況はSDGs委員会に報告され、重要事項については取締役会に報告されます。取締役会は、気候変動を含むサステナビリティ関連リスク・機会を経営戦略や事業活動の意思決定に反映するとともに、必要に応じて全社的なリスク管理の枠組みに組み込んでいます。
指標と目標
当社グループでは、気候関連リスク・機会への対応状況およびGHG排出削減の進捗を管理するため、Scope1・2・3のGHG排出量、エネルギー使用量、再生可能エネルギーの利用状況等を主要な指標として継続的にモニタリングしています。
GHG排出削減目標
当社グループは2026年9月、SBTiより、パリ協定の1.5℃目標と整合する科学的根拠に基づいたGHG排出削減目標としてSBT認定を取得しました。
SBT認定目標
Scope1+2
2034年度までに、2024年度比でGHG排出量を52.6%削減
Scope3
2031年度(2032年3月期)までに、購入した製品・サービス、資本財、上流の輸送・配送および投資に関連する排出量を対象として、対象となるサプライヤーおよび顧客の78.3%(排出量ベース)がSBTを設定することを目標としています。
当社はSBTを気候変動対応における中核的な目標と位置付け、Scope1・2については省エネルギー、設備更新、低炭素燃料への転換、再生可能エネルギーの活用等を進めます。Scope3については、サプライヤーとのエンゲージメントを強化し、GHG排出量の把握、削減目標の設定および削減活動を協働して推進します。
GHG排出実績
当社グループでは、Scope1・2・3のGHG排出量を継続的に算定・開示しています。
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